年末に駆け込み購入しても経費にならないもの

経費とならないもの
経費とならないもの
会計ソフト・会計処理

そろそろ今年も終わりに近づき、フリーランスや個人事業主の方々は、来年の確定申告の時に払う税金が気になってくる頃です。
そうなると、経費を少しでも増やそうとして、年内に駆け込み購入をしてしまいがちです。
ただし、注意しなければならないのは、駆け込み購入しても経費にならないものや、一部しか経費にならないものが存在するということです。

 

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年末は駆け込み購入したくなるもの

年末になると、どうしても駆け込み購入したくなります。
私のその中のひとりで、特に独立してからその気持ちが強くなりました。

年末に駆け込み購入したくなる理由としては、年内に物を購入しておけば来年の確定申告後に支払う税金が安くなるからです。

フリーランスや個人事業主の場合は、1月から12月までの期間(暦年と言います)を一つの区切りとして税金を計算します。
12月中に物を購入→経費が増える→所得(利益)が少なくなる→支払う税金も少なくなる
という流れです。

1月に購入しても経費にはなりますので長い目で見ると同じですが、その場合に税金が少なくなるのは1年以上後になってしまいますので、必要な物であれば年内に購入しておいた方が良いのです。

ただし、もちろん経費となるのは事業に必要な物に限られます。

 

駆け込み購入しても経費にならないもの

基本的には、年内に物を購入したのであればその年に経費となります。
しかし、次の物については購入した時に経費となりません。

  • 商品に該当するもの
  • 減価償却資産に該当するもの
  • 貯蔵品に該当するもの
  • まだ使用していないもの

 

商品に該当するもの

商品に該当するもの、つまりその物自体を販売する場合には、年末に駆け込み購入したとしても経費にはなりません。
商品の購入金額(原価と言います)については、商品が売れた時に売上と対応して経費となります。

ただし小売業の場合は、年末年始は卸売業者が休みであることもありますし、年末年始の商戦に備えるために在庫を多く持つという対応も必要にはなります。

 

減価償却資産に該当するもの

減価償却資産に該当するものについては、年末に購入したとしても全額経費とはなりません。
減価償却資産は、10万円(青色申告をしている場合は30万円)以上で、1年以上使用するもののことを言います。

減価償却資産は、1年だけでなく何年にもわたって使用するものですから、使用期間に応じて経費となっていきます。
これを減価償却と言います。
注意が必要なのが、購入した日ではなく使用開始した日から減価償却がスタートするということです。

資産の種類ごとに耐用年数(何年で経費にするか)が決められており、年の途中で購入した場合は月割計算となります。
たとえば、耐用年数が5年のものを12月に購入した場合は、購入金額の60分の1しか経費となりません。(定額法の場合)

■詳しくはこちらの記事をご参照ください。

フリーランス・個人事業主の減価償却の基本的な考え方

 

消耗品で棚卸資産に該当するもの

減価償却資産に該当しない物については、本来は購入した日ではなく使用した日に経費にすることになります。
ですから、たとえばコピー用紙などについても使用した日を記録して、その分だけ消耗品費とし、未使用分は棚卸資産に計上するのが原則となります。

しかし、そんなことをやっている方はいらっしゃいませんし、いざやろうとしてもできないのが現状です。
ですから、通達というもので次のような取り扱いが認められています。

37-30の3
消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する年分の必要経費に算入するのであるが、その者が、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各年ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する年分の必要経費に算入している場合には、これを認める。(昭55直所3-19、直法6-8追加)

(注) この取扱いにより必要経費に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

引用:所得税基本通達

要するに、
「販売用でないものや製造原価に該当しない消耗品などで、毎年購入量と消費量が変わらないものについては、継続して取得日に経費としている場合はその取り扱いを認めます」ということです。

ただし、たとえば利益が出そうな年の年末にだけコピー用紙をまとめて購入して、一時的に在庫が増えた場合などは上記の取り扱いの適用はありませんので注意が必要です。
上記の取り扱いは、毎年購入量と消費量が変わらないことを前提としていますので、ある年だけ在庫が増えた場合は原則通り棚卸資産として計上する必要があります。

ちなみに法人税についても、同じような規定がありますので取り扱いは同様となります。

 

まだ使用していないもの

年末に購入して年内にまだ届いていない物や、まだ使用してないものについては経費となりません。
これは減価償却資産も消耗品も同じ取り扱いとなります。

ネットなどで物を購入した場合は、購入日でも到着日でもなく、実際に使用開始した日が基準となり、経費となったり減価償却が開始したりします。

 

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本当に必要なものは年内購入しておこう

そもそものお話ですが、事業に本当に必要な物については年末などの時期は関係なく購入するようにしましょう。
そして、必要な物でどうせ購入するのならば、年を越した後よりも年内に購入する方が良いということです。

ただ、年末は駆け込み需要やボーナスの関係から、物にもよりますが、あまり値下がりしないことがあります。
そのため、年末に購入するよりも年始の初売りに購入する方がお得となることも。

その辺りは冷静に見極めて損をしないようにしなければなりません。
この辺りのお話は、消費税率が上がった10月1日前後のことと共通する部分でもあります。

■詳しくはこちらの記事をご参照ください。

買うのは必要なものだけ

消費税が上がるとしても無駄なものは買わないように!買うのは必要なものだけにしよう

 


□編集後記□
今日は家族で出かける予定でしたが、出かける予定だった場所が休みということが発覚し中止となりました。
残念ですが、もっと早く確認しておけば良かったというお話ではあります。
ただ、その分家族3人で散歩に出かけたりしましたので、良い1日でした。

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