売上を計上する日は入金日でなく「引渡日」と「完了日」

売上を計上する日
売上を計上する日
会計ソフト・会計処理

フリーランス・個人事業主として独立し、自分で会計ソフトで経理をされている方でよくあるのが、「売上を入金日で計上している」という間違いです。
売上を計上する日は、入金日ではありません。
モノを販売した時は「引渡日」、サービスを提供した時は「完了日」となります。
※当記事は、フリーランス・個人事業主を対象としています。
また、建設業などの場合は、違った会計処理をする場合があります。

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売上を計上すべき日

経理をおこなっていくうえで、いつの時点で売上を計上するかは1番と言っても良いくらい重要な要素です。
もしも、いつ売上を計上するかは会社ごとの自由であるとすれば、公平性がなくなってしまいますし、意図的に売上を早めたり、遅くしたりする会社が出てくるでしょう。

ですから、会計処理の方法には一定の決まりごとがあります。
売上に関しては、売上を計上すべき日は「入金日」ではなくモノを販売する小売業の場合は「引渡日」、サービス業の場合は「完了日」となります。

 

小売業の場合

小売業の場合は「引渡日」に売上計上すべきだということはお話ししましたが、具体的にいつモノを引渡したのかというのは、考え方により異なります。
また、通販などの場合は、販売側が出荷してから消費者の手元に商品が届くまでに1日、2日かかることとなります。

ですから、いつの時点で売上計上をするかはある程度会社の判断に委ねられています。
たとえば通販を営んでいる場合は、次の流れになります。

  1. まず、お客様から商品の注文が入ります。
  2. その後その商品を発送します。
  3. そしてその商品がお客様のもとに届きます。

この3段階を経て取引が完了します。

売上代金の入金については、銀行振込の場合は先に代金をもらいますから、受注と発送の間にあります。

また、クレジットカード決済の場合は、配達完了後に他の売上と一緒にまとめて入金があるのが一般的です。

ただし、売上を計上すべき日は、この「入金時」ではなく「引渡日」です。

実際にお客様に商品が引き渡されるのは配達完了時となりますから、売上は配達完了した時に計上するのが原則となります。
ただし、配達完了を毎回確認するのはかなりの手間がかかります。

そういう時は、発送時を引渡日として売上計上するのが良いでしょう。

ただし、発送時か配達完了時かどちらの時点で売上計上をするかを決めたら、基本的に変更することはできません。
また、すべての商品について同様の基準で売上計上することとなります。

変更できない理由は、変更を認めてしまうと利益操作につながりかねないからです。

 

サービス業の場合

サービス業の場合は、モノの引渡しという概念はありません。
ですから、サービスの提供が完了した時に売上計上をすることとなります。


また、一定の期間に渡って提供されるサービス(税理士の顧問業務など)については、その対応する期間の経過に応じて売上計上することとなります。

 

簡単な方法は年末にまとめて売掛金を計上する

では、実際の日々の帳簿付けについてはどうするべきでしょうか?

結論を言いますと、毎日売上の計上基準にのっとって売上を計上するのが理想です。
小売業であれば「引渡日」、サービス業であれば「完了日」です。

そして、売上の入金は売掛金のマイナスで計上します。
仕訳であらわしますと次の通りです。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 〇〇円 売上 〇〇円
現金預金 〇〇円 売掛金 〇〇円

しかし、経理担当者がある会社であればまだしも、すべて自分でやらなければならないフリーランスは毎日そこまでできません。

ですから、最も簡単な方法は、
「日々は入金時に売上計上し、年末に未入金分をまとめて売掛金として計上する方法」です。

仕訳であらわしますと次の通りです。

  1. 日々の処理
    入金時に売上を計上する

    借方 金額 貸方 金額
    現金預金 〇〇円 売上 〇〇円
  2. 年末時
    年末の時点で未入金分を売掛金として計上する

    借方 金額 貸方 金額
    売掛金 〇〇円 売上 〇〇円
  3. 次年度の年末
    昨年の売掛金をマイナス処理し、年末の時点での未入金分を売掛金として計上する

    借方 金額 貸方 金額
    売上 〇〇円 売掛金 〇〇円
    売掛金 〇〇円 売上 〇〇円

こうすれば、あまり手間をかけることなく会計処理をすることができます。

ただし、この処理には
「売掛金残高が増えると毎月の売上が過小に評価され、売掛金残高が減ると毎月の売上が過大に評価されるという」
という大きな問題点があります。

その結果、
「月々の処理ではあまり利益が出ていなかったのに、年末に数字を確定させたら思ったより利益が出てしまい、税額が多かったため資金繰りが苦しくなってしまう」
ということにつながりかねません。

そのため私は、年末にまとめて売掛金を計上する方法ではなく次の方法をオススメします。

 

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毎月売掛金を計上する

先ほどは、年末にまとめて売掛金を計上するという処理をしましたがこの処理を毎月行います。
少し手間は増えますが、この方法であれば月ごとの売上のズレがなくなります。

  1. 日々の処理
    入金時に売上を計上する

    借方 金額 貸方 金額
    現金預金 〇〇円 売上 〇〇円
  2. 月末時
    年末の時点で未入金分を売掛金として計上する

    借方 金額 貸方 金額
    売掛金 〇〇円 売上 〇〇円
  3. 次月の月末
    前月の売掛金をマイナス処理し、その月の時点での未入金分を売掛金として計上する

    借方 金額 貸方 金額
    売上 〇〇円 売掛金 〇〇円
    売掛金 〇〇円 売上 〇〇円

年末と同様の処理を1年間で12回やることとなりますからそれなりに手間は増えますが、毎日売掛計上するよりはかなり楽です。
また、毎月売掛金を計上する会計処理をすることで、売上の未回収リスクを下げられるという効果もあります。

売上は代金を回収するのがゴールですから、毎月売掛金を計上する会計処理をすれば、嫌でも未回収の管理をすることになります。

売掛金の計上 → 未入金の管理 → 入金の催促

といった流れを作ることにつながります。

 

まとめ

売上の計上基準について横断的にご説明しました。

大切なことは

  1. 売上は「入金日」ではなく、「引渡日(発送日)」「完了日」に計上
  2. 日々の売上は入金時に計上し、毎月未入金分を売掛金として計上
  3. 売上の未入金分を毎月管理し、催促することで未回収を少なくする

ということです。

もしも入金日に売上を計上している場合は、正しい基準に直すようにしましょう。

 


□編集後記□
今日は午前中に自宅で作業をし、午後は車の半年点検、その後はジムへ行きました。
点検で待っている間にブログを書いたりしていますので、効率的に仕事ができています。
また、独立前からやりたかったことのひとつである「平日にジムへ行くこと」が早くも達成できました。
ただし、大切なのは続けることですのでこれからも継続しようと思います。

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